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32歳のマタニティライフとごはんと日常生活

モアナと伝説の海(ディズニーヒロインはついに英雄になったのか?)を見てきました


映画『モアナと伝説の海』日本版予告編

ようやくつわりが落ち着いてきたので映画三昧の日々です。生まれたら行けなくなるのだから今のうちに行っておこう!という思惑。

鑑賞してから時間が経ってしまいましたが、『モアナと伝説の海』です。安定のディズニーなので、面白さは保障されているだろうなあと思いつつ前評判を見たら「モアナはマッドマックス」という超絶パワーワード。一気に期待ゲージが高まります。(マッドマックスは通常、爆音、4Dと3回見ちゃった勢です…)

というわけで六本木にて鑑賞してきました。感想は「マッドマックスだった。けど、それ以上にこれはディズニーによるディズニープリンセスの脱却と、超王道の英雄譚だ」と。

いうわけでネタバレ折りたたみです。

モアナの住んでいる群島諸島は、女神による恵みで成り立っています。その女神の「心」を、半神半人であるマウイが奪い取ってしまう。「心」を失った女神の島々は徐々に枯れ、海は荒れ、段々と人々の生活が脅かされてきている、というのがベースの舞台です。

モアナや、モアナの島の人々は、かつては新しい島を見つけるために大海原を旅した海の民。モアナも外海へ出たいと願うが、彼女は島の村長の娘であり、やがては島の長になるという未来が待っている。彼女が海に出るのは禁止されていたし、一度だけ1人で内緒で海に出た時は、荒れた外海によって、命を落とすかもしれない危険に見舞われたほどだった。

自分にとってやりたいことはある、だが周りがそれを許してくれない。自分にはやるべきことがある。と、自分を押し隠して模範的な村長の娘であろうとするモアナ。けれど、ひたひたとやってくる荒廃の気配に、モアナは胸を痛める。その時、モアナの祖母が、ずっと持っていた女神の「心」をモアナに託す。(これはかつて、モアナが幼いころ"海"に「心」を託されていたが、誤って海に落としてしまったもの。おばあちゃんが拾ってずっと取っておいてくれていた。)

モアナは、父親に反対されることが分かっているために、たった1人で夜の海へ乗り出す。途中、半神半人であるマウイと出会い、共に「心」を返しに行くという波乱万丈の大冒険に出る…という、ストーリーは本当に、すごくオーソドックスです。

 

見ている途中から思っていたのですが、オズの魔法使いや、行きて帰りし物語を彷彿とさせるのですよね、このお話。ついでにいうとジョゼフ・キャンベルの千の顔を持つ英雄であるとも。

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 読んだのが結構昔でうろ覚えなのですが、「英雄譚」といわれるものは、基本的な構造が似通っている。それも必ず三段階の構造になっているという。詳細は以下がとても詳しく分かりやすいのでこちらをどうぞ。

704夜『千の顔をもつ英雄』ジョセフ・キャンベル|松岡正剛の千夜千冊

 英雄はまず、(1)日常世界から危険を冒してまでも、人為の遠く及ばぬ超自然的な領域に出掛けるのである。ついで(2)その出掛けた領域で超人的な力に遭遇し、あれこれの変転はあるものの、最後は決定的な勝利を収める。そして(3)英雄はかれに従う者たちに恩恵を授ける力をえて、この不思議な冒険から帰還する

 

 一部リンクより抜粋。つまりこういうことかなと。人為の及ばぬ外海に飛び出したモアナは、そこでマウイや海の不思議な者達と出会い、最終的には女神に心を返し、そして島の恵みを復活させて村に戻った。不思議な力、ではないですが、モアナは旅を通して海の民がかつて持っていた船乗りの技術を得たんですよね。

つまり、モアナはディズニーヒロインでありながらも、ヒーローなんです。そもそも今回、ヒロインとヒーローは存在したのか?という疑問もあり。ロマンス要素一切無かったし、マウイはどちらかというとオビ=ワン・ケノービみたいな役どころっぽかったような…。

 

今までのディズニーヒロインというのは、自分が能動的に動きつつも、最終的には王子と結ばれるのがお約束でした。最近はちょっと路線が変わりつつあるなと思うものの、その定石は変わらなかったと思います。

しかし今回に至っては、最終的にモアナは誰かと結ばれることもなく、村長の娘として、海の民として、力強く行きてゆくという終わり方でした。まあ今後結婚だのなんだの控えているのかもとは思いますが、そこが重要な点ではないんですよね。

彼女が物語を通して得たものは、『自分らしい生き方と、自分らしく生きてゆくための手段』です。(しかもそれは他者によってもたらされたモノではなく、マウイという先達のアドバイスと自分の努力によって自力で得たものであるという)決して、主人公の得た成果物が、『王子と結ばれて幸せハッピーエンド』では無いのです。

 

現代の女子、女性にとってはかなりガツンとくるメッセージではないかと思います。だって夢見るディズニー映画ですし。キラキラしたディズニープリンセスの映画ですし。キラキラどころか、汗と涙にまみれた熱血映画ですよ。マッドマックスばりにドンガドンガしていた所もありましたし。

 

とはいえ今回作中で、マウイがモアナに対して「プリンセスか?」と聞いた際の返答が「私は村長の娘よ」なんですよね。プリンセスという存在の否定!ディズニー映画なのに!これには衝撃を受けました。

 

ディズニーも、これまでのディズニー映画のあり方を変えようとしているのだなと。時代とともにヒロインのあり方も過渡期に入っているのだなと思えた作品でした。1人の人間の成長物語としてすごく分かりやすいし、万人におすすめの作品だと思います。クスッと笑えるシーンも多いし、キラキラというよりは、本当に海洋アクションもびっくりの骨太映像ですので、小さい男の子も楽しいんじゃないかな。どうでしょうか。